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2003/6/19(THU)
おかしな漢字大会
 一緒のアパートに住んでいるパオラとモニカのところには、いつもたくさんの友達が集まっています。わたしも話の内容が分からないクセに、なぜか中に加わって、皆の話を聞いています。そしてきょうも始まりました、漢字大会。彼らにとっては、漢字はとてもクールで神秘的なもののよう。ミラノやローマでは、イタリア人の名前をイラスト付きの漢字で書いてくれる屋台があるそうで、部屋にもモニカの文字を模ったイラストが飾られています。
 まずは「ビート」。これは単純に「美人」と書いて「カッコいい人って意味だよ」と説明すると、なんだかとても嬉しそう。パオラには「パリの巴、中央の央、東洋の像の羅で、巴央羅」と書くと、モデルのようなポーズをキメて喜んでくれました。パオラの彼、ヴィットリオには「美しい鳥の男で、美鳥男」と美しくまとめてみましたが、手強かったのがヴィンチェンツォ。「ボトルの瓶に、インテリジェントの智慧、倉庫の蔵だよぉ」。かなり無理矢理ですが、考えてみれば、伊太利亜だって英吉利だって倫敦だって羅馬だって、ただの音合わせ。皆に喜んでもらえて、ちょっと良かったかしら?
 ここでは意味のない漢字があふれています。パオラの好きなサッカー選手の背中には「武」と彫ってあるし、街では「男女光」というTシャツを着た人が歩いているし、このくらいならまだいいのですが、時々一本多かったり足りなかったり、ありえない漢字もあったりして、日本人にとってみれば、このセンスはとても理解できません。
 でも日本でも逆に、外国製の日用品や化粧品などは、そのまま飾ってもインテリアとして目障りにならなかったり、音楽にしても言葉の分からない洋楽の方が耳に心地良かったりすることがありませんか? きっとそのようなノリで、意味の分かる私たちにはおかしなものでも、彼らにとっては意匠の一部なのでしょうね。

 写真は「パリオ」の練習のようすです。「パリオ」はシエナで行われる、年に一度の盛大なお祭り。シエナの街はコントラーダと呼ばれる中世の地区で区切られていて、このコントラーダに別れて馬を競います。それぞれにはテーマとなるシンボルキャラクターがあり、私の住む地区はオオカミなのだと教えてくれました。7月2日のパリオまであと2週間。ブラスバンドに歌に衣装に、毎晩応援の練習に余念がありません。シエナの人々は割とおとなしい印象を受けましたが、街の結束意識がそうさせているように感じました。ちなみにこの「パリオ」の模様はイタリア全土でテレビ中継されるそうです。

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