|
カトリーヌ・スパークとイスキア島
イスキア島と聞いて、わたしはウキウキしたヴァカンスのイメージを思い浮かべます。カトリーヌ・スパークが主演した1962年の青春映画「太陽の下の18歳」の舞台となった島だからです。エンニオ・モリコーネのテーマソング「ゴーカート・ツイスト」は、当時日本でも大ヒットしたそうですから、覚えていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。
映画はナポリでフェリーに乗るシーンから始まります。女の子ひとりのヴァカンス。わたしも映画を真似てカトリーヌのような帽子を被って、日帰りだけどきょうはヴァカンスです。島に渡るときというのは、本土とともに日常が遠ざかっていくような気がするからか、いつも期待に胸がはずみます。
これまでにポルクロール島、リド島、ムラーノ島、カプリ島を訪れたので、きょうは5つ目の島になります。どの島もそれぞれに魅力があって、また訪れたいと思っていましたが、このイスキア島は、ごくフツーの島です。隣にあるカプリ島と比較されますが、やはりカプリの美しさにはかないません。イスキア島は温泉が有名なので、港に降り立つと、「○○温泉」と書かれた看板をいくつも目にします。カプリとは違って車もたくさん走っていて、バスの本数も多いので、きょうは気の向くままにバスに乗って、島の観光をすることにしました。
●ローマ通り〜ヴィットリア・コロンナ通り
島の北東のビーチ・イスキアポンテの内側の通りは、石畳のおしゃれな路(写真2〜3)。この界隈だけは、島の中でもひときわこじゃれています。島の名産のセラミックのお店や、温泉のアロマテラピーのお店、レモンチェッロのお店など、お土産屋さんが軒を連ねています。岬の上にはアラゴネーゼという要塞がそびえ立っています(写真1)。海沿いにはレストランや海の家が並んでいましたが、カトリーヌがツイストを踊っていたのは、この辺りのビーチでしょうか?
●ソッコルソ教会
西岸の街・フォーリオのビーチにそびえ立つのは、ギリシア建築の真っ白な教会(写真4)。ここイスキアは、紀元前にギリシア人が移住したと伝えられています。教会裏のバルコニーからは、地中海が一望できて、大きな海を独り占めにしている気分。イスキアのパンフレットの表紙にもなっている、とてもきれいなところです。
●カサミッチョラ
イスキアポンテののどかさとは対照的に、北岸のカサミッチョラはにぎやかなビーチ。家族連れや若者たちなど、海水浴客でにぎわっています。
イスキア島から帰って家で夕食を食べていると、マンマが急にカトリーヌ・スパークの話をはじめました。「わたしの父はね、もう亡くなっているんだけど、カトリーヌ・スパークという女優さんが大好きだったのよ」
「え! わたしがきょうイスキア島に行ったのは、彼女の映画を見たからなんですよ!」
カトリーヌ・スパークはイタリアでは有名な女優さんのようですが、何せもうおばあちゃん。まだ10代の妹さんに、「とっても昔の、若かったころの映画でしょ」と言われました。
お土産には、イスキア名物のファンゴとレモンの石鹸を買ってきました。温泉には入らなかったので、せめてものイスキアの温泉気分を、自宅で味わってみたいと思います。
← Back to index
|
|