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2003/7/11(FRI)
写真は夜の送別会のようす。エマヌエラは、わたしの母の古いゆかたを着ています。
ナポリのなんにもうまくいかなさ具合を知る
 ナポリでの滞在も、もう終わりに近づいています。次に滞在する南仏のマダムへは、2日前に再度電話で待ち合わせを決めましょうと話していたので、昨日から電話をかけているのですが、なかなか繋がりません。友達にお願いして、フランスからもかけてもらいましたが、「お客様のご都合により、電話を繋ぐことが出来ません」とのアナウンスが流れるのだそう。マダムは年配の一人暮らしだと聞いています。いったい何があったのでしょうか。
 マダムの連絡先は住所と電話番号しか分からないので、日本にいる、マダムを紹介してくれた方にお願いして、近所の方と、ロンドンに住む娘さんにFAXを流してもらいました。そしてわたしはイタリアから、電報を出すことにしましたが、この電報を出すために、きょうは丸一日をつぶすハメになってしまいました。以下はその本日の一部始終。イライラするのがお嫌いな方は、読まないほうがよろしいかと思います。

 まずは近所の郵便局へ。エマヌエラに付き添ってもらって、妹のクラウディアに車で連れてきてもらいました。小さな郵便局の中は、貯金や振込のために、百人近くのお客さんがごったがえしています。わたしたちはまず並んで、電報用の用紙をもらうことに成功。あとはこの用紙に書き込んで、再度提出するのみ。ところが、お客さんたちが何やら騒がしい。証券取引所あるいは魚市場にいるかのように、大声で怒鳴り合っています。そして、12時半ピッタリに、「もう休み時間です。お・し・ま・い・!」との、局員の大きな怒鳴り声の放送が。取り残された百人近くのお客さんたちは大ブーイング。わたしたちも、せっかく窓口の前まで辿り着いていたのに、局員たちは12時半になる5分くらい前から、スローモーションでちんたら仕事をしていて、聞く耳を持ちません。もう、うんざり!

 しょうがないので、書き込んだ用紙を持って、次は電車とバスを乗り継いで、ナポリの中央郵便局に行きました。ここでも常に20人ぐらいのお客さんが並んでいます。順番待ちのあいだ、既に学校を遅刻しているエマヌエラは、かなりイライラしているようす。ようやく私たちの番になりました。電報ということで、担当のおじさん(これが問題のオヤジ。ここから先はオヤジと呼ばせていただきます。)に手招きされて、電報を打つところまで辿り着きました。
 ところが今度は郵便番号が無いと送れないといいます。そんなもの調べれば分かるじゃ〜ん!と、せっかく並んだのだし、ずいぶん粘ってみましたが、送れないとの一点張り。しょうがない。インターネットで探して出直すことにしました。

 エマヌエラの学校のネットポイントに行くと、ちょうど日本人のお友達のアイさんがやって来ました。授業のあるエマヌエラに代わって、アイさんがネットで調べてくれて、一緒に郵便局に付き添ってもらいました。またまた20人ほどの列について、またまた例のオヤジに呼ばれて、窓口に行きましたとさ。すると、「この郵便番号は間違ってるよ。ほら、番号を入力しても住所が表示されないじゃないか。」え〜っ、フランスの郵便局のサイトにアクセスして調べたはずなのに、どうしてー? じゃあ、どうすればいいの? 「これは昔の番号なんだよ。郵便番号のテレホンザービスがあるから、そこに電話して聞いてみな。」はぁぁ〜、分かりましたよ。

 アイさんが電話で問い合わせてみると、国外の番号は分からないから、大使館に聞いてくれとのこと。アイさんは頭を働かせて、まずは近くの観光案内所に連れていってくれました。
 観光案内所で事情を説明して、係員のお姉さんに、フランス大使館に電話をして問い合わせてもらいました。すると先にネットで調べたものと、同じ番号であると言われました。「でも、それでは古くてダメらしいから、新しい番号を教えていただけませんか?」お姉さんは、今教えた番号が新しいものなのだけど、念のためにと古い番号も教えてくれました。

 ん〜、これで完璧! やったわーと思いつつ、またまた郵便局に戻り、またまた列をつき、またまた例のオヤジの窓口に呼ばれました。なのに、2種類の番号両方ともダメ。さらには、新しくゲットした方の番号を入力すると、イタリアの地名が表示されます。
 さては、オヤジが外国用にセットしていないのではないかと疑ってみましたが、画面にはちゃんと外国用との表示が出ています。またまた追い返されそうになったわたしたちは、もう3時間もこうして来てるんだから、何とか送ってよ」とオヤジに詰め寄りました。オヤジは、やれやれといった表情で、しぶしぶ上司を呼んできましたが、この上司もブツブツ文句を言うだけで、なーんにもしてくれません。

 アイさんは、「観光案内所の人のイタリア語がフランス人に通じなくて、もしかして間違ったのかもしれないから、もう一度タエコさんが電話して、大使館に問い合わせてみようよ。それに、フランス語の学校とか、フランス関係の施設もあるから、そこにも聞いてみよう。」と。
 そしてもう一度観光案内所に戻り、電話番号を教えてもらって、フランス語が通じるように、フランス人観光客をつかまえることにしました。フランス人はすぐに見つかり、電報の用紙を見せて、ここの郵便番号を知りたいんだけど、と話しかけました。
 「ここに書いてある番号で合ってるよ。だって、僕は隣町のニースから来てるんだ。間違いないって。絶対に合ってるよ」
 そうよね。間違っているはずが無いのよね。だって、ネットで調べて、大使館に問い合わせて、地元の人に聞いて一致してるんだから。さては、あのオヤジが間違っているとしか考えられない。わたしたちはまたまた郵便局に戻り(もう朝から5回目よ!)、またまた順番につき、今度はオヤジを無視して、隣のお姉さんの窓口に行きました。
 お姉さんのところに来たというのに、オヤジは後ろから「そいつの番号は間違ってるー! それは俺がやるんだぁー」とわめいています。お姉さんは「郵便番号が無いぐらいで、どうして送れないのよ。わたしは電報はあなたよりもたくさんやってるんだから、任せといてよ」と、カッコ良く撃退してくれました。やったぁ!
 お姉さんはさっと電報を打ち終え、「番号は合ってたわよ。もう電報はフランスに送れたからね。」と。あ〜、やっぱりあのオヤジのせいだったんだ!

 イタリアでは郵便局に限らず、銀行でも、観光案内所でも、ひとりひとりのお客さんの話が長い。でも毎回こんなオヤジみたいな人に応対されたんじゃ、話が長くなって、故に長蛇の列が出来てしまうのも当然のこと。
 帰り際にアイさんにお礼を言うと、「いいのよ、こんなの慣れてるから」と、クールに言い残して去って行きました。わたしは、炎天下の中を何往復もして、まわりの人を巻き込んで、こんなに苦労をしたことが、とても悲しかった。ナポリのなんにもうまくいかなさ加減、わたしは大嫌いですっ!

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