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2003/7/12(SAT)
バイアの海底遺跡
 きょうはこの旅でいちばん沈んでいます。あれだけ苦労してフランスのマダムに電報を送って、日本の友達からも連絡してもらっているのに、未だにマダムとの連絡がつきません。行くあての無い、家なき子はとても悲しい。以前ベネツィアにひとりで行ったときは、ホテルを決めずに行きましたが、その時はシエナに帰るところがあったから、全然不安じゃなかった。でもこの先、行く当ても無く、ホテルを探しながら旅を続けていかなくてはならないのは、なかなか辛い。こうしてみて、自分の限界がどのあたりにあるのかが良く分かりました。リッチなホテルに泊まるような旅は求めていないけど、荷物を何日かに一度の割合で自分で運んで、行き先を転々とするのはちょっと出来ない。先々までの予定を組むのは苦手だけれど、日本にいるうちに、全行程の宿泊先くらいは手配しておくべきだったと思いました。

 昨晩は、エマヌエラが友達を呼んで、家で送別会を開いてくれました。わたしは日本文学科の学生と一緒に巻きずしとお好み焼きを作り、エマヌエラのお母さんがラザニアと、ハートのケーキを用意してくれました。電報を打つのにお世話になったアイさんと、一緒にナポリにいるアイさんのお姉さんも駆けつけてくれました。ふたりはナポリでもう三年以上も暮らしています。翻訳をしたり、学生に日本語を教えたりしながら生活していて、イタリア語はペラペラ。ナポリやイタリアの歴史や文化のことも良く知っています。

 きょうエマヌエラは、わたしが前から見たいと言っていた、バイアの海底遺跡に連れていってくれました。この旅で、エマヌエラはとても良くしてくれました。昨日は送別会に来てくれるお友達を集めるために電話をかけまくっていたし、一週間前にお互いの気持ちを話し合ってからは、とても気を遣っているのが分かります。きょうはお別れに、「タエコさん、料理が好きですから」と言って、お菓子の型をたくさんプレゼントしてくれました。

 わたしは寝台列車でフランスに行きます。エマヌエラはパーティーがあるからと、かわいらしい衣装を身に付けて、途中まで送ってくれました。楽しそうなエマヌエラをよそに、わたしの気分は落ち込むばかり。列車に乗ったものの、マダムとは連絡が取れず、未だに行く先が決まっていません。いくつかのホテルにも電話をかけてみましたが、明日の朝またかけ直してくれとのこと。寝台列車の中で、ダメもとで、以前インターネットで調べていた、ホームステイの出来るカンヌの語学教室に電話をかけてみました。急だけど、明日から泊まれないかと尋ねてみると、「大丈夫ですよ。何かあったらまたお電話して下さいね」との優しいお返事。
 とにかく、泊まるところが見つかって良かった。昨日は休む間もなく寿司を作って、夜遅くまでパーティーが続いて、からだの方もかなり疲れていました。きょうは寝台車でゆっくり寝て、明日はカンヌへ向かいます。

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