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2003/7/15(TUE)
写真は路線バスのペイント
サントロペの時代
 きょうは朝からカンヌの街歩きをしました。カンヌの街は駅と港をはさんで繁華街が広がっているので、とても歩きやすい。港の真ん中に、映画祭が行われる会場があり、そのまわりには、スターの本や写真を売るお土産屋さんや、ブランドのお店が並んでいます。
 カンヌのお土産はゴチャゴチャしたものが多くて、あまり心惹かれるものが無いのですが、きょうは特別に欲しい本を見つけてしまいました。
 それは「サントロペの時代」という本。50年代〜60年代のスターたちがこぞって訪れた、サン・トロペの写真集です。レコード会社社長のバークレイの別荘に集まる俳優たちの写真や、ミック・ジャガーとビアンカの結婚式の写真、ゲンズブールとバーキン一家がバカンスに訪れたときの写真、フランソワーズ・サガンのナイーブな少女時代の写真 …などなど、数々の写真とともに、その当時のサントロペの伝説が綴られていました。
 そして気になったのが「トロペ風」レシピ。「トロペ風=Tropezienne」とはブリジッド・バルドーが呼びはじめた言葉なのだとか。以下に「トロペ風」レシピの訳を載せておきます。ただこうなると、本場の「トロペ風」を食べてみたい! もう一度、次はカンヌから船でサントロペに行って、サントロペの伝説の一皿を食べて来たいと思います。


 〜ある日のこと、ブリジッド・バルドーは市役所広場の小さなパン屋に入り、3種のクリームとバニラアイスが入ったブリオッシュ風のケーキを食べた。このタルトはポーランド人のパティシエ、アレクサンドル・ミッカの自信作。バルドーはこれが大好きで、「タルト・トロペジェンヌ」と呼んでいた。その後美食家や料理通、またその他の人たちの中で、地元の有名なデザートとしてヒットし、以降「トロペジェンヌ」という言い回しが先験的にただレシピとして残っている。(最近ではアルベール・ドュフレーヌがリバイバルした。)
 卵、小麦粉、牛乳、バター、砂糖がこの生地の材料であるが、甘くて重いクリームなのに軽い、これがこのお菓子の半世紀に渡って受け継がれた秘伝である。お菓子売り場には他にも、セネキエの上品な白のヌガーや、グリモー(シャトーのパティシエ)作のとろりとして軽い見事なシュー、コロブリエール(コート・ダジュール製菓)のマロン・グラッセなどがある。
 地中海特有の、特にサントロペ湾ならではの他の料理を掘り下げるため、ここに名人アンドレ・ザナムラの2つのレシピを紹介しよう。

LOUP OU DAURADE AU COULIS DE POIVRONS
鱸あるいは鯛のピーマンソース添え(あるいは「いたずらなさかな」)

・魚一匹(1.5kg) 鱸、はた、まだら、たい、まぐろの切り身など
・レモン汁 1個分
・フレッシュコリアンダー 1/2束
・塩こしょう
※ピーマンソース用
・赤ピーマン 4個
・にんにく 6片
・大きなトマト 1個
・トマトペースト 大さじ2
・パプリカ 大さじ1
・オリーブオイル 大さじ2
・塩こしょう
マリネ:30分
調理時間:15分(ソース)+10分(魚)

1:魚は中を取り除いてきれいに洗う。レモン汁、塩こしょうをかけて30分マリネしておく。
2:ピーマンソースを作る。ピーマンを大きくカットし、花梗を取り除いて、洗う。にんにくの皮をむき、中身をとっておく。トマトは沸騰したお湯に15分入れて湯むきする。
3:キャセロールに水を沸騰させ、塩こしょう、にんにくと、ダイスに切ったトマトを入れる。この時蒸発して水がほとんど無くならないよう、150ccほどの量を残すこと。ミキサーでピューレにして、味をととのえる。
4:オリーブオイルをシチュー鍋に入れて弱火で温め、そこに素早くトマトペーストを加えてかき混ぜる。3のピューレとパプリカを加え、とろ火で10分煮る。
5:魚をマリネから取り出し、4のソースに浸して弱火で煮る。最初に煮え立ったときに裏返し、ソースで覆う。全部で10分煮て、火を止める。
6:魚はあつあつ、もしくは生ぬるく、もしくは冷やして器に盛る。上にコリアンダーを散らす。温めていただく場合は、ピラフやスライスしたふかし芋を添える。特別にクスクスを添えても良い。その場合ソースはやや多めで、水っぽい方が良い。

※コリアンダーの代わりにパセリを使っても良い。
 湯むきトマトは缶詰めか、フレッシュ・トマトを裏ごして使う。


MARMOUMA
マルムーマ
トマトとピーマンのにんにく漬け。残りものはゆで卵やパスタと合わせると良い。
・トマト 1kg
・赤ピーマン 1個
・緑ピーマン 1個
・にんにく 6片
・オリーブオイル 大さじ8
・塩こしょう
調理時間:少なくとも2時間

1:トマトを洗って2つに切る。ピーマンは種と花梗を取り除いて3〜4センチにスライスする。にんにくの皮をむき、中身をとっておく。
2:フライパンにオイルを注ぎ、トマト、その次ににんにく、最後にピーマンを加える。塩をまぶし、色づくまで焼く。沸騰してきたら火を弱め、フタをして20分加熱する。ようすを見てやさしくかき混ぜる。
3:ピーマンに火が通ったら、水っぽくなりすぎないように、とろ火で1時間20分煮込む。もし野菜が焦げ付くようなら、それはラッキー・サイン…。木のスプーンでフライパンの底をこすり、中身が完全に漬かるのを待つ。これはジャムとして使うことが出来る。こしょうをし、サラダボウルに丁寧にうつす。
4::伝統的には、マルムーマは冷やして味わう。

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