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2003/7/19(SAT)
奇跡の泉・ルルドへのひとり旅
 イタリアのモンテカティーニ、イスキア島に続いて、今回はヨーロッパの源泉・温泉を訪ねたいシリーズの第3弾。ユーレイルパスの最後のチケットを使って、カンヌから寝台列車に乗って、スペイン国境のルルドまで来ました。ここ「ルルドの泉」は、ピレネー山脈のふもとにある、奇跡の泉と言われているところ。スピリチャルスポットとしても名高いのですが、世界中からその奇跡を信じて、病気を患った人が祈願に訪れる、カトリックの一大聖地となっています。

 今から150年前ほどのむかし、この街に住む少女のところに、突然聖母マリアが現れ、洞窟に行きなさいと命じました。少女がそこに行くと泉が湧き出し、その湧き水で不治の病と言われた人々が何人も回復したのだそうです。その奇跡から、現在では科学的にこの泉の成分の研究が進められています。洞窟の上には大聖堂が建てられ、まわりには礼拝堂や病院が並び、奥には美しい緑と川が広がる、巨大な聖地になっています。逸話が真実かどうかはともかくとして、奇跡を信じてここまでの立派な聖地を作り、毎年500万人もの人々が訪れていることは事実。ルルドの感想を説明しようとすると、宗教がらみっぽくなってしまってうまく伝えられないのですが、自分の目で見て感じることがたくさんありました。

 人込みをかきわけて、泉の前(写真1)まで辿り着くと「ダメダメ、病気の人しか入っちゃいけないよ」と言われて追い返されてしまいました。そう言われてみると、泉の前には車椅子に乗ったお年寄りがずらりと並んでいます(写真2)。車椅子の人を運ぶのは、写真手前で赤い服を着ているボランティアの人たち。一般のツーリストも中に交じって手伝っていたので、わたしも教会から病院まで、患者さんを運ぶお手伝いをしました。

 奇跡のお水は、洞窟とは別の場所にある水汲み場で、自由に汲むことができます(写真3)。学校の足洗い場にあるような水道から、普通に蛇口をひねるとジャーって水が出てくるので、奇跡の泉のありがたさはあまり感じられないのですが。このお水を入れるボトルは、駅から泉に向かうまでのお土産屋さんに、ありとあらゆる種類の入れ物が売られています(写真4)。マリア様をかたどったもの、ネックレスに小瓶がぶら下がっていて携帯できるもの、香水瓶のような美しいものから、大きなポリタンクまで、種類はさまざま。ペットボトルなどの空き瓶に入れて持ち帰ることもできます。お水の使い方は、病気の人が飲んだり、傷口につけたりすると、不思議と良くなるのだということです。わたしはちょうど持ってきた化粧水がなくなりかけていたので、泉のお水にラベンダーオイルを入れて化粧水として使い、残りは両親に送ります。

 午後からは、電車でさらに2時間のところにある、大西洋岸のビーチリゾート・ビアレッツ(写真5)、それから美しいヴァカンスの街・ポーを訪ねました。ビアレッツはコートダジュール、ドーヴィルと並ぶ、フランスの三大ビーチリゾートと言われています。スペインはもう目と鼻の先。陽射しがとても眩しくて、道路も建物はババーンと大きくて、コートダジュールのかわいらしい町並みとはまた違った雰囲気。空の色だって、どのビーチにも増して鮮やかなブルーです! ポーは内陸の街ですが、駅前の無料のフニコラーレ(ケーブルカー)に乗って、いちだん高くなった街に出ると、街全体が庭のようになっています。美しくて個性のあるところです。

 帰りのカンヌ行きの寝台車に乗ると、上半身裸の男の人たちばかりでビックリ! あわてて車掌室に駆け込んで「どうして女部屋じゃないの?」と訪ねました。すると「予約するときにちゃんと言わないとダメだよ。自動的に女部屋になるわけじゃないんだよ。でも君の部屋はあいにく女ひとりだから、今回は女部屋に替えてあげるよ」ですって。またひとつ、お勉強をしました。

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