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2003/8/1(FRI)

ゲーテアヌム(写真2〜5)
www.goetheanum.ch
バーゼル駅よりトラム10番に乗り終点Dornachで下車。徒歩10分または66番のバスでGoetheanum下車。8:30〜18:00。無休。入場無料。ワークショップや観劇などの催しも。


ヴィトラデザインミュージアム(写真1,6〜9)
www.design-museum.de
バーゼル駅よりトラム8番でClaraplatz下車。55番のバスに乗り換えてVitraで下車。要パスポート。10:00〜18:00。月曜休。椅子のコレクションが見られるのは正午とPM2:00 からのガイド付き見学のみ(英語)。入場6ユーロ、ガイド付き見学3.5ユーロ。インターネットではミュージアムグッズの購入も可能。
シュタイナー霊学校ゲーテアヌム VS ヴィトラデザインミュージアム
 バーゼル市街から市電で30分ほど南に下った、ドルナッハという丘に、精神学者シュタイナーが設計したゲーテアヌムという建物があります。ここは20世紀初頭に、シュタイナーが霊学を教えたり、神秘劇という舞台を上演するために作られたものだそうです。このゲーテアヌムを中心に、大きな敷地の中にレストランやコテージなどが点在して、「シュタイナー村」ともいえる一大タウンを形成しています。
 そのゲーテアヌムですが、魂がそのまま形となって現れたような、不思議な建物(写真2)。窓や階段、家具に至るまで、どれをとっても、いびつな形をしています。まるでそれぞれに魂があるような、生き物のよう。大ホールには聖堂のようなステンドグラスがあるのですが、これがまたミステリアス(写真3〜4)。「西の赤の窓」「北のばら色の窓」「南の青の窓」などというふうに、ガラスには色濃く色彩が施され、そこに彫られた模様は精神学的な意味をもたらしているのだそうです。
 シュタイナー学校の子供たちが描いた絵も多数展示されています。どの絵も、ピンクやブルーの淡いもやの中に、黄色い光が表現された、「あっちの世界」の絵。霊的な修業をして、超感覚的な世界を描いているのだと思います。英語による短期講座もあるそうです。10週間で授業料が8万円ほど、滞在費と食費が月8万円ほどで、ペインティングやドイツ語、精神学などをみっちり学べます。
 もし自分の子供をシュタイナー学校に入れたらどうなるか。大物になりそうな気もするけれど、世間の波に揉まれて生きていけるのか、いささか不安な気もします。
 施設内にはヘルシーなベジタリアンレストランもあり、そこでサラダバイキングのランチをいただきました。

 次はバーゼルの北、ドイツの国境を越えたところにある、ヴィトラデザインミュージアムに行きました。館内には、スイスの家具会社・ヴィトラ社の創設者、ロルフ・フェールバウムの膨大な椅子のコレクションの中から、20世紀100年間にわたる100脚のイスが展示されています(写真1)。こちらもドイツ郊外の膨大な敷地の中に、美術館、工場、倉庫など、いくつもの建物が並んでいおり、これらの建築物と100脚のイスのコレクションは、1日2回行われるガイド付きツアーで見ることができます。館員のみなさんは、とてもフレンドリーで親切、そして家具の博士。100脚の椅子を1番から順番に説明してくれました。展示されている椅子には年代順に1から100までの番号が付いているのです。
 ヴィトラ社の工場は20年前に火災に見舞われたため、その時世界に名を馳せる名建築家たちに依頼して、建物を全て現在のように建て替えたのだそうです。コレクションが展示されている建物は「ファイヤーステーション」と呼ばれ、船を模した形になっています(写真7)。船にいるような感覚を味わってもらうため、階段が動くようになっていたり、柱が斜めになっていたりと、愉快な設計なっているのですが、それらが緊張感を持って組み合わさっています。どの角度から見ても完ぺきな美しさが計算されていて、ため息の連続です。
 美術館のほう(写真6)では、インゴ・マウラによる、光を使ったインスタレーションが展示されていました。60年代のインテリアの本で見た、プラスチックで出来たウォール・ポケットの作家です! そのウォール・ポケット、「Uten.Silo」ですが、展覧会を記念して、お持ち帰りに限って今だけセール価格(小が1万4000円ほど、大が2万3000円ほど)で売られていました。あぁ、持って帰られるものなら買って帰りたい!
 併設のカフェは、東京にもありそうな雰囲気のところだけど、やっぱりかっこいい(写真9)。しかも今までにヨーロッパで見た中で、いちばん安い値段。飲み物もケーキも2〜300円と、なんて優しいのかしら。

 きょうはバーゼルの北と南をまわって、対極を見たような気がします。片や感覚的で魂に訴えかけてくる建物。その一方で、生活感の無い洗練されたモダンな空間。どちらもスケールが大きくて、素晴らしかった。そして、そんな美しいものが簡単に見られるバーゼルも素晴らしい。一見の価値アリです!

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