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2003/6/24(TUE)
ピアーノ・ピアーノ
 授業が3週目に入ったあたりで、トスカーナの料理がどういうものか、だいたい分かってきました。素材は変われど、調理法はワンパターン。肉にスパイスなどを詰めて巻いて焼くか、野菜をクタクタになるまで炒めたおすか、パスタとソースを層にして焼くか。魚料理にしても、例えばタコを1時間半もゆでてソースにしています。こちらではさっとゆがいて素材を味わうという考えはあまり無いようす。パスタだけが唯一、アルデンテ。フランスのお家でも、野菜をクタクタになるまで煮込まないと、「まだ煮えていない、生だ」と言われてしまうと聞きました。
 料理学校の友達とも話をしています。日本ではトスカーナは食の宝庫だと紹介されているのに、実際に来てみると、はっきり言って農村の田舎料理。クタクタの形のないものじゃなくて、見た目にも美しい料理を知りたい! イタリア料理はこれだけじゃないはず! はじめは一生に一度のつもりでやって来たのですが、一度来てしまうと他の地方にも滞在してみたくなって、もっともっと欲が出てきてしまいます。それに1週間や2週間だけの短い旅行では味わうことのできない、出会いや発見が毎日毎日あるので、この素晴らしさを知ってしまうと、もうやめられないよねと話しています。
 それともう一つ。ほんの何カ月かの間だけこちらに滞在して、チョコチョコっと駆け足で料理を教えてもらって、いったい何になるんだろうとも思いはじめました。私の場合は言葉もまだカタコトです。相手の文化や歴史を知るにはまずは言葉が不可欠。そしてどっしり腰を据えて向き合ってこそ、その国を知ることができるような気がします。
 とはいえ、私の旅はまだ始まったばかりで、はじめは知り合いも全くいなかったのに、こちらで多くの友人ができましたし、全然話せなかったイタリア語だって、今ではなんとか単語をつなげて話しています。少しずつ少しずつ、ピアーノ・ピアーノを合言葉に、とにかく体験していくしかありませんね。

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