jeudi, le 16 juin, 2005
ディック・ブルーナ ぼくのこと、ミッフィーのこと
|
「ミッフィーの絵をさらさら描く子どもたちを見て、いいなぁと思ってしまいます」というところがいちばん面白かったです。
何度も何度も書き直して、極限まで無駄をそぎ落として、1枚の絵を仕上げていく工程のたいへんさを、こんなふうなユーモアを持って語っていました。子どもでもさらさら描けるまでにシンプルな形を作り上げた、というところがすごいのですけれども。
この本で語られるブルーナ氏の言葉からは、まっすぐで穏やかなお人柄が伺えます。きっと温かい家庭で育ってこられた根底の部分が、お人柄に表れているのだろうと思います。だから絵本の中でも、ミッフィーが優しい家族に見守られている安心感があります。
ブルーナ氏は父親の経営する出版社の専属デザイナーとして働くかたわら、ミッフィーのシリーズをはじめとする絵本を次々と発表し、恵まれた環境で順風満帆な人生を歩んでこられたように見受けますが、本人のたゆまぬ努力なくしてはありえなかったことだと思います。若いころから変わることなく自分の好きなことに賭ける情熱を持ち続け、全力投球で作品を作り続けるとは、並大抵のパワーの持ち主ではありません。
この本の冒頭には「私のことについて書かれたこの本が、あなた自身の夢を実現させる役に立つよう、願っています」とブルーナ氏直筆のメッセージが添えられています。
好きなことを仕事にすることの楽しさと厳しさ。大人になった今でも大いに役に立っていますが、子どもの頃にこの本に出会っていたなら、もっともっと良い影響を受けていたと思います。
またデザインの仕事について、子どもにも分かるような目線で、わかりやすく説明しているのはすごいことだと思いました。
おじいちゃんになって、世界じゅうで有名な作家になった今も変わることなく、「もっといいものを作りたい」と、謙虚な気持ちで毎日絵本を作っている姿に、改めて素晴らしい人だと感じました。
デザインストロークでやったみたいに、ほんとにすこ〜しずつ線を描いていくんだよね>ブルーナさん。
どんなに慣れても、何百回ミッフィーを描いても、丁寧に丁寧に真剣に仕事をしているのを見ると、自分に必要なことはこれだ〜!と思わされます。…私はすぐにダレだり、ナメたりしがちなので(^^;
そういえば、この前ミッフィー展を見に行った時、「なぜブルーナさんは『さん』付けなのか?」とダンナが言った。わからんが、「ブルーナさん」なイメージだ。